うべかま通信
〜Vol.1〜

新鮮な魚の持ち味を存分に生かした蒲鉾づくり

宇部かまの原料は、100%天然の鮮魚。エソ、ミナミダラ、スケソウダラ、キントキダイ、イトヨリダイなどかまぼこ造りに適した魚を仕入れ、鮮度には徹底してこだわっています。創業以来、70年以上にわたって「原料魚の持ち味を存分に生かした製品を作る」という信念を貫いてきました。

中でも「エソ」は、宇部かまに欠かせない原料魚の一つです。硬い小骨が多い為調理が面倒な魚といわれていますが、すり身にすると非常に美味しく、高級かまぼこの原料として重用されています。肉色が白くて旨味が強く、かまぼこの特徴である「美しいまでの白さ」と上品な味わいがあります。しかし、冷凍にすると弾力が弱くなり、鮮度低下も早いため、水揚げ地の近くでしか使用できないという特徴を持っています。

かまぼこの「歯ごたえ」「弾力」は、「足(あし)」と呼ばれ、昔から「かまぼこは足が命」といわれるほど。この「足」を作るためには、何よりも鮮度が肝心です。当社では日本海や玄界灘で獲れた近海ものの「エソ」を市場で直接買い付け、新鮮な状態で加工しています。

そして、魚の持ち味を存分に生かすために重要なのが、良質な水です。宇部かまの変わらない美味しさは、霜降山系から湧き出る清冽な天然水に支えられています。まろやかできれいな味の天然清水が、名脇役として主役の魚を引き立てます。宇部かまのかまぼこには、海と山の恵みがたくさんつまっています。

宇部かまのこだわり

伝統製法を守り続ける

宇部かまのかまぼこ作りには、「焼き抜き」といわれる山口県独自の伝統手法が大切に受け継がれています。この手法の特徴は、新鮮な魚のすり身をかまぼこ板に盛り付け、板の真下から間接的に焼きぬくこと。表面に直接火をあてないため、蒲鉾の肌は雪のように白く焼きあがります。

表面のシワは、加熱で膨張したかまぼこの表面が冷えて縮むためにできるものです。シワがきめ細かく均等に入っているほど、材料が充分に練られ、歯ごたえに直結する弾力「足(あし)」を持っている証拠。職人さんがかまぼこの見た目を重視するのには、れっきとした理由があるのです。

昔は炭火を用いていた「焼き」の工程は、技術の進歩で赤外線ランプに変わりましたが、伝統製法によって生み出される味は今も同じ。宇部かまの「嶺雪(みねゆき)」は「焼き抜き」にこだわり、板の下からじっくりと炙り焼き上げ、魚の持つ本来の旨味を引き出しています。また、「蒲(かま)さし」も「焼き抜き」で作られており、刺身のようなしなやかな歯ごたえと上品な味わいがあります。

多彩な技法で生み出す味わい

宇部かまが磨いてきたかまぼこづくりの手法は、「焼き抜き」だけではありません。板や藁に調合したすり身を盛りつけた後、蒸し上げる「蒸し」の技術を生かした分野でも名品を生み出しています。「新川」はその代表的な製品。蒸気でやさしく丁寧に蒸し上げると、「焼き抜き」とは明らかに違うしっとりとした上品な味わいが演出できます。

また、宇部かまの「焼き」の技術はちくわ作りにも駆使されています。ちくわは「焼き抜き」と違って直接炙り焼きをしており、香ばしい焼き風味が特徴です。「極一(ごくいち)ちくわ」は上質なすり身を使って、丹念に焼き上げています。

長年培われてきた伝統の製法と匠の技。どんなに時代が変わっても、守るべきことは守り続ける。宇部かまの頑固なまでのこだわりは、すべて美味しさにつながっています。

手から手へ

信頼の美味しさを大切な方への贈り物に

宇部かまのかまぼこ作りの原点は、素材の持ち味を生かした丁寧な手仕事です。技術が進歩して機械化が進んだ現在も、手作業でしかできないことは大切に守り続けています。
原料の鮮魚は機械に頼らず手さばきで、魚の弾力性を損なうことなく、純粋な魚身だけを切り出しています。熟練した手作業により、かまぼこは旨味をたっぷり含んだ純白な製品に仕上がります。

また、蒸し蒲鉾の「新川」には、ストロー状の天然麦藁(むぎわら)が使われています。麦藁はかまぼこの持つ水分を調節し、保湿効果によって「新川」の品質を保つ役目があります。近年の材料不足のなかでも専門の麦藁職人の手を借りて材料を調達し、形の美しい麦藁に仕上げたものを使い続けています。

たくさんの人の手をかけて、丁寧に作られたかまぼこを、つくり手からお客様へ。感謝の気持ちを込めてお届けします。

宇部かまコラム

「蒲鉾の語源」

その昔、神功皇后が三韓渡航の道すがら、兵庫県生田の社で魚肉をすりつぶしたものを鉾の先に塗りつけて焼いたという言い伝えがあり、かまぼこの起源といわれています。その形が水辺に生えている植物の蒲穂(かまほ)に似ていたことから、かまぼこの名が付けられました。最初のかまぼこは、ちくわのような形だったようです。

かまぼこの栄養

体に欠かせない良質なタンパク質タンパク質は三大栄養素の一つで、筋肉や血液などをつくる体には欠かせない成分です。魚肉には、タンパク質の中でも人間に必要な9種類の必須アミノ酸がバランス良く含まれています。魚のすり身を使うかまぼこ製品は、良質なタンパク質を摂取できる理想的な食品です。

骨の健康を支えるカルシウムかまぼこ製品には、骨の成長を支えるカルシウムが多く含まれています。成長期のお子様はもちろん、高齢者の骨粗鬆症の予防にも必要な栄養素です。カルシウムの吸収を助けるタンパク質やビタミンDも含まれているため、カルシウムを効果的に摂取することができます。

若さを保つDHA、EPADHAとEPAは、体内ではほとんど作られない必須脂肪酸の一種です。DHAは脳の働きを活性化し、EPAは血液をサラサラにする働きがあります。どちらも魚介類の油に含まれる成分で、特に青魚には豊富なため、つみれなどのかまぼこ製品がおすすめです。

体にやさしい栄養源かまぼこ製品の強い弾力は、魚のタンパク質の性質を利用して作られたもの。魚肉をペースト状にしているため、消化されやすくおなかにやさしい食品です。当社のかまぼこは、でんぷん・卵白不使用、保存料無添加の製品をそろえており、安心してお召し上がりいただけます。

かまぼこ歴史館

宇部かま本社の敷地内には、かまぼこの歴史と昔の作り方を伝える「かまぼこ歴史館」があります。平成13年10月に落成して以来、工場見学とあわせて多くの方にお越しいただいています。
平成18年11月には、皇太子時代の天皇陛下も本社工場と「かまぼこ歴史館・清水庵」をご視察に来られました。

歴史館では、昭和初期頃まで使用していた「かまぼこ製造工具」を雛型で再現し、展示をしています。それぞれの工程に特徴があり、さまざまな道具を使いながら、かまぼこが作られていた過程が分かります。

昔のかまぼこ作りの様子は、島根県の紙塑(しそ)人形作家、吾郷恵美子さんが製作した紙塑人形を使って丁寧に再現しています。漁獲から調理、成型、販売まで、表情豊かな人形たちが生き生きと当時の様子を伝えます。それぞれの工程にやさしい言葉で解説が添えられており、かまぼこ作りの歴史を楽しく学べる歴史館です。

紙塑人形・・・オリジナル粘土で形を作り、胡粉塗り和紙貼りでできている人形です。絵具を使用せず、和紙をピンセットで一枚一枚重ねて貼り、色の微妙な変化を表現しています。

宇部かまの癒しスポット!

清水庵

「かまぼこ歴史館」に隣接する「清水庵」の前には、池と緑で彩られた美しい日本庭園があります。四季折々に移り変わる植物や木々の表情を眺めながら、ゆっくりと散策をお楽しみいただけます。

清水庵には八畳二間・六畳一間・計二十二畳の畳部屋を設けております。ご予約に限り一日一組の団体様を対象に、庭園の風景を楽しみながら昼食をとっていただけます。

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